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時の贈り物*[幽遊白書]*

第32章 儀式


「……澄。あなたが私を気に入らないのは、私の力が足りないから。というのも理由の一つなんでしょう?」

澄「…………」

私と話す気にもなれないか…

「私は玉藻じゃない、たとえ生まれ変わりでもね
でもだからと言って、自分の力を過小評価するつもりもないわ
燈の言った通り、私は私。だから私は私なりに強くなる
あなたに認めてもらえるよう…いいえ、認めさせてみせるわ!!」

澄「…っ!」

自分を信じること、仲間を信じること
それが私の希望であるから

幻海「少しは理解したかい?それが、時音という妖怪だよ」

今まで皆と見ていたおばあちゃんが口を開いた。

幻海「お前が思うほどコイツは脆くはない。いつかお前も驚かされるだろう」

澄「…………」

おばあちゃんの話しを黙って聞いていた澄。
私もおばあちゃんの話しを静かに聞いていた。
すると…

チャプ…

誰かが湖の中に入ってくる音がした。
気になって後ろを振り向いてみると、湖に入ったのは蔵馬だった。

「………蔵馬?」

蔵馬は無言で私の隣まで歩いて立ち止まった。
蔵馬はそのまま澄をジッと見る。
澄も蔵馬を見据える。

澄「………貴様が妖狐蔵馬か」

蔵馬「……あぁ。………澄、そんなに時音を認められないなら、せめて様子を観ようとも思わないのか?」

澄「……………私の主は、玉藻のみ」

蔵馬「玉藻は死んだ。いい加減そのことを認めたらどうだ?」

澄「最初からわかっている」

蔵馬「なら、時音を少しでも信じてやることだ。
それが出来なければ、お前は自分の主を否定することになるだけだぞ」

澄「……………」

「蔵馬…」

澄「………少し、考えておく」

それだけ言い残すと、澄はゆっくりと浮き上がり、月に届きそうな高い木の枝に座りながら何かを考え始めた。

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