第32章 儀式
「………ねェ、蔵馬」
蔵馬「ん?」
「私を…澄のいる木の下まで、連れてって…」
蔵馬「……え」
「私は、認めてもらわなくちゃならないの。信じることよりまず、認めてもらわなきゃ、信じるものも信じれないでしょ」
私は…私は澄と…
蔵馬「…………わかった」
澄と、供に戦いたい。
自分たちと向き合うべきものに
私は蔵馬に抱き抱えられた。いわゆるお姫様抱っこ。
そのまま彼のいる木へ向かう。
後ろから、燈と日和も続く。
「ここでいいよ」
蔵馬にそう言って、降ろしてもらった。
けれど体は疲れているので、蔵馬に支えてもらっている。
「……澄。私たちはお互いを知らない。それは当然のことよ。
だからこそ私は、あなたのことをもっと知りたい。
燈や日和と同じ、お互いを解っていられる…理解し合える仲でいたい。
主とか、式神とかじゃなくて……」
私は…
そんな関係じゃなくて、ただあなたと…
「………あなたと、仲間になりたいの」
そう言うと、彼は驚くように瞳を見開き、私を見る。
私も彼から目を離さない。
ジッと見つめた。
数秒経った。
彼はゆっくりと立ち上がり、下へ降りてくる。
そして、私の目の前に、先程の水色の玉を翳しながら、ゆっくりと言葉を放つ。
澄「主・玉藻の名において…我、護法式・澄。汝、土御門 時音を、新たな主と認める」
刹那…
ギラリと水色の光が玉から放たれた。
その光は無数の粒子となって、私たちに降り注ぐ。
……この光は
「あ、この現象…」
燈「そうです。あっしが姫君を主と認めた時と、同じ現象です」
「………えぇ。そうね」
……本当に、認められたんだね
私は澄の主として。