第29章 互いの大切さ
「ならもう隠し事はしない。これからは全てキミに話す
だから時音もオレを信じてほしい。今のオレが言えることじゃない。それにこれから先、もしかしたら危険が増えるかもしれない
死んでも可笑しくないようなことも、あると思う…よっぽどの事がない限りね
それでも、最後までオレを信じてくれ。必ず、キミの元に戻ってくる
オレもキミのことを信じてるから」
時音「………ホントに?どんな事があっても、帰ってくる?信じていいの?」
「あぁ、大丈夫。必ず帰ってくるよ
だからほら、我慢しないで思い切り泣いて」
いまだに涙を堪えている時音の頬を撫でながら、彼女の顔を覗き込む。
時音「…く…ま…蔵馬!!」
オレの方へ振り向き抱きついて、滝のように涙を流しながら大泣きする時音。
そんな彼女を、オレは強く抱きしめた。
時音「……バカァ!バカ、秀一ィ!!うぅ…」
「ゴメン、本当にゴメン」
腕の中で大泣きする時音に、オレは何度も「ゴメン」と謝った。
その度に時音も「バカバカ」と連呼する。
そんな彼女を可愛いと思ってしまうオレは相当惚れ込んでいると、改めて実感する。
時音がここまで大泣きすることなんて滅多にない。
だからつい、また次に拝める日がくるまで目に焼き付けておこうなど考えてしまう。
時音の言う通り、自分でも呆れる程意地が悪いようだ。