第29章 互いの大切さ
あれから2時間程が経った。
ずっと泣き続けていた時音は、今はすっかり寝ている。
ソファーに座りながらオレに体を預け、器用に眠る時音に苦笑してしまう。
かなりの時間大泣きしたせいで、目元が赤く腫れている。
オレの服をギュッと掴み、規則正しい寝息をたてて眠っている時音が可愛くて、オレはそんな彼女をの顔を頭を撫でながら眺めていた。
すると後ろから一つの妖気を感じた。
その妖気の正体は、オレがよく知っているモノだ…
「燈、そこにいるんだろう?」
燈「やはり、わかっていやしたか…」
「…まぁね」
半年振りに会った彼女は、少し強くなったように感じる。
流石、時音の式神というところか…
「オレに話しがあるんだろう?」
燈「……えぇ。姫君のことについて」
時音についての話しと聞いた途端、オレの中に不安が襲う。
顔だけ後ろに向け、ジッと燈の顔を見た。
燈はオレの顔を見ると、口を開いた。
燈「…その前に、玉藻についてお話しさせて頂きます」