第28章 邪眼師・飛影
「時音!」
ぼたん「!お時ちゃん、蔵馬が戻って来たよ」
時音「う、うん…」
時音はまだ女の子の額の上に手を翳しながら妖力を送っていた。
「解毒剤、持ってきた」
ぼたん「それはいいんだけど…蔵馬、アンタお腹から血が出てるけど…大丈夫なのかい??」
「あぁ。飛影の妖力は弱まったから、そう力を送り続けなくても大丈夫なバズたよ」
ぼたん「って言ってるけど…」
時音「わかったわ。一応螢子ちゃんの方は私の呪符で抑えておくから。
とにかく蔵馬の傷の手当てを!」
時音は壁にもたれ座っているオレの隣へしゃがみ、オレの腹部へ手を翳した。
その手を見た瞬間、オレは鳥肌がたつほどに驚いた。
「時音!どうしてこんなに傷だらけになるまでっ!!」
時音「え?」
時音の手は傷だらけで、しかも血で真っ赤だった。
オレは治療をしようとする時音の手を止め、両手で優しく包み込んだ。
オレの為に時音が傷つくなんて、冗談じゃないっ!
何の事だかわかっていない時音と見つめ合っていると、奥の方から幽助の声が聞こえた。
幽助「おーい!」
ぼたん「幽助!!」
幽助「飛影を倒せたぜ!!」
ぼたん「やったじゃないかい!じゃ、早く螢子ちゃんに解毒剤をっ」
幽助っ「あぁ」
幽助は彼女を抱き上げると、彼女の口に解毒剤を三適ほど落とし飲ませた。
幽助「額の目が消えていく」
ぼたん「もぅ大丈夫だよ」
時音「宝も取り戻せたし、これで一件落着ね」
幽助「あぁ。蔵馬、すまなかったな。大丈夫か?」
「うん、平気さ。急所は外している」
ぼたん「にしても、人が悪いよね。霊丸が鏡に反射するなんて、いつ覚えたのさ?」
そう、それもオレは気になっていた所だ。
霊丸とは、霊気を指先に集中して放つ技のことだ。
幽助の今の霊的パワーでは、一日一度が限度だろう…