第27章 タイムリミット
オレたちは急いで病室へ戻る。
医師の話によると、容態が急変しかなり危険な状態だそうだ…
今夜が…峠だと…
オレたちは再び屋上へ戻る。
オレはポケットから暗黒鏡を取り出した。
「やるしかない…」
幽助「暗黒鏡を使うのか!?願いを叶えるためには、あるモノを捧げなきゃならないって聞いたぜ?
それが何か知ってんのか!?」
「命さ」
幽助「!」
オレは鏡を地面に置き、鏡の面に満月を映す。
鏡の上に手を翳し、鏡に向かって言葉を放つ。
「暗黒鏡よ…月の光を受け目覚めたまえ。その面に我が望みを叶える力を示したまえ」
暗黒鏡の面が光出す。
その面の中に母さんの顔が映る。
【…この女の幸せな人生
それがお前の望みか?】
鏡がオレに問いただす。
「そうだ」
幽助「おい、お前間違ってねーか!?彼女が助かったって、お前が死んだらなんにもなんねーじゃねーか!!」
「これしか方法がないんだ」
幽助「じゃあ、お前時音はどうすんだよ!!」
「っ!!」
幽助「お前ら幼馴染みなんだろ!?恋人なんじゃねーのかよ!!
なのに、時音も置いていくつもりなのか!?」
わかってる…わかってるさ…
時音が悲しむ事くらい
だが…
「母さんが助かるのはこれ以外にないんだ」
【そのためにはお前の命をもらうぞ。本当にいいのか!?】
「それで…彼女が助かるならば」
【よし、それでは願いを叶えてやろう】
その言葉と同時に、暗黒鏡の光がオレを包み込む。
「…くっ」
―――さよなら…母さん、時音…
すると、
「!?」
幽助がオレと同じように鏡に手を翳し始めた。
な…
「なにをする!?」
幽助「おい、鏡!!オレの命を分けてやる!!
だからコイツの命を全部とらなくても、願いは叶うだろ!!」
「な、何を考えてるんだお前!!」
オレがそう言うと、幽助は辛そうに顔を歪ませながら語りかける。
幽助「母親が自分のことで泣いてんの見たことあっか?
幼馴染みが自分のことでどれだけ想って泣いてるかわかんのか!?
あんなバツのワリーもんはねーぜ!!」
「………」
そして鏡の光がオレたち二人を包み込み、天へ昇るように一直線に輝いた。