第2章 日常の変化
休日、麗奈は幸輝と会う約束をつけることができた。
けれど、あの日以来どこへ行くにも傍には空が付き添っていた。
今のところ、空がしていることは執事やボディーガードと何ら変わりは無いのだが、お金持ちのお嬢様になったようだと浮かれていたのは最初の一日だけだった。
守ってもらっているとはいえ、少し自由が奪われてしまったような感覚になっていた。
「すぐ向かいの家に行くだけだよ?別について来なくてもいいんじゃない?」
「こちらも任務の為なので…ご辛抱ください」
空は申し訳なさそうに言った。
その様子を見て、麗奈はふーっと息を吐いた。
ピンポーン……
「あら?麗奈ちゃんじゃない!久し振りね~」
幸輝のお母さんが家から出てきた。
「あの子に会いに来たの?」
麗奈は、はいと笑顔で答えた。
「部屋にいるわよ、さあどうぞ…
あれ、そちらの方は?」
「あ~、えっと……」
麗奈が返答に困っていると、空が口を開いた。
「麗奈さんとお付き合いさせて頂いている者です」
「あ~!お母さんから聞いてるわよ~、麗奈ちゃんにすごくイケメンの彼が出来たってはしゃいでたもの…この子がそうなのね~」
幸輝のお母さんは、空のことをしばらく眺めていた。
「まあ、とりあえず上がって頂戴よ」
「おじゃまします」