If, to remember that my【進撃の巨人】
第1章 2000年後の君は
そんなどこにでもありそうな平和な日常。
これが一変することになるであろうことは誰もが知る余地も無い。
もちろん、サリも。
「____……ふう!!間に合ったあ!」
ざわざわと、朝の短い時間をお喋りに費やしている人がほとんどの教室に着くと自分の席だけがぽっかりと座り人を待つようにして空いていた。
そこに小走りで駆け込み、机の上に通学カバンをどさっと置く。
そんな彼女を怪訝そうに見ていた隣の席の男子、エレン・イェーガーがその大きなゴールドの瞳を伏せて口を開いた。
「…朝からうるせーな、もうちょっと静かに出来ねーのかよ」
そう言ったエレンにサリも黙っていられずに口を開いた。
「…そっちも朝からうるさいな!いいじゃん!ちょっとくらい!ギリギリセーフだったんだからね!?」
「知らねーよ!」
二人のやりとりをまじかで見ていたアルミンはまた始まったよ…とこめかみに指を当てた。
ミカサもミカサであと五時間後くらいに食べるであろう母親が作ってくれたお弁当をむしゃむしゃと頬張っていた。
このクラスでは朝からこんなにうるさいのは当たり前。
しかもサリとエレンの衝突はもうこのクラスの名物になりかけている。
そんな公認のクラスでサリは高校生活をそれなりに楽しんでいたのである。