第2章 女泣かせの糸(高杉甘裏)
「いやらしくねだるもんだな」
「あ……」
「でもまあ、いやらしい女は嫌いじゃないぜ」
それまでより少し力を入れて、肉芽が弾かれる。
こぽっ、と音がするくらいに滴る露。
もう、堪えられない。
「やあああ、も……、おかしくなっちゃ……、気をやらせて……くださ……」
仕込まれた廓言葉もどこへやら、とろけたような声で必死に懇願する。
「イかせてほしいか?言ってみろよ」
「イかせて……ああん、な、何でも、しますからあああ……」
必死でねだった。
「何でも?」
「んっ、何でも、すりゅ……からあ……」
「おいおい、客に花魁がそんなこと言っていいのか?」
「あっ……あ……」
「もう俺の声もロクに聞こえねえか。上の口も下の口も物欲しそうによだれ垂らして」
下から見上げると、晋助さんはこみ上げてくるニヤニヤ笑いを抑えているようだった。
「あ……」
喰われる。
そう、思った。
「じゃあ、イかせてやる」
肉芽に強く舌を押し付けられる。
ザラザラした舌の感触が、焦らされた身体には強すぎた。
声もあげられず、あたしの身体は飛び跳ねた。
喉から出る空気が、ひゅっという音を立てる。
蜜ごと肉芽を吸い上げて、歯で甘噛みをされた。
「やあああああああん、イ……っ!!」
意志とは関係なくガクガクと痙攣するあたしの身体。
無意識のうちに脚が晋助さんの顔を締め付けてしまっていた。