第5章 5
「できるだけ急いで仕事を終わらせて、予定より一週間前に顔だしたらイッチーと仲良さそうに言い合っててさ。柄じゃないけどちょっと嫉妬しちゃったんだ」
「なんだ、そういう事だったんだ。レンでも嫉妬するんだね」
小銭をコインカウンターのなかに放り込む。
「…ま、そんな感じでバタバタしてるうちに今日がきた。つまりノープラン。何したい?俺は涼子の家に行きたいな」
「はぁ…掃除してないんで勘弁してください…」
「じゃあ俺の家だ。リムジンで迎えにこさせるから週刊誌に載ることもない」
「急に家って…」
「涼子はどこか行きたいところがあるの?」
「…うん、一応」
「ならそこにいこう」
再び吐き出された長いレシートを確認し、くるくると巻いて専用の引き出しの中に入れる。
「涼子ちゃん。あとはやっておくから、待ちに待ったデートにいっておいで」
店内の消灯を終えた店長がカウンターに入ってコインカウンターの中の小銭の枚数を数え始めた。
「そんな、これくらいは」
「いいのいいの!はい!タイムカード切った!」
店長はまた勝手に私のタイムカードを切った。
「またですか!もう!この借りは今度返しますからね!」
私は自分のタイムカードを店長から奪い返し、所定の場所にもどした。
「素直じゃないんだからー。じゃあレンくん、茶子ちゃんをよろしくね」
「お任せください。涼子は俺の大事なハニーですから」
「ちょっとレン!」
恥ずかしいことを恥ずかしげもなく人にいうのはやめて欲しい