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触れてみたかったから(うたプリ)

第3章 3


「こんにちはー!マスター!ランチ4つ!」

元気良く入店してきたのは、早乙女学園の制服を着た4人。男の子二人と女の子二人だ。

「あら、いらっしゃい。カウンターの席で待っててね」

マスターがおっとりと早乙女学園の学生に返事をする。

そんな元気な声に気を取られ、なんとか気まずい空気を脱却した。

「アイドルの卵だね」
「まだ卒業してから一年もたってないのに、遠い昔のことのようだ。懐かしいね」

神宮寺レンは優しい瞳でアイドルの卵たちを見つめた。

「ねぇねぇ!あの奥の席に座ってる人!あの人って…!」
「えっ!まさかあのレン様!?」

女子生徒たちがいち早くこちらに気づいたようで、こちらをみてこそこそとしゃべっているのがわかる。
神宮寺レンもそれに気づいたようで、女生徒二人に優しく微笑み、手をひらひらと振った。

女生徒二人が小声でキャイキャイ騒いでいると、男子生徒二人も気づいたようで、本物だ!と大騒ぎしてる。

「ほーら、アンタ達。先輩に失礼でしょう?」

マスターが騒がしくしていた学生達を優しく諌めた。
4人揃って、ごめんなさい、と素直に謝っている。

「ごめんね、学生達はなかなか元気だから」

困った顔をしながらマスターが水を持ってきてくれた。

「街を歩けばもっと騒がれてますから慣れてますよ。それに比べて、ここはみんなが慣れてるから気が楽だ。お気遣いありがとうございます」

神宮寺レンは慣れたようにマスターにそう言った。

一年前のゴールデンウイーク明け。真新しい制服を着崩した彼が初めて来店した時のことをぼんやりと思い出した。
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