第3章 3
「最近、レンくんこないねぇ」
平日の昼下がり。カウンター内。
店長は新聞を、私はネットニュースを眺めながらぼーっとしていた。
「涼子ちゃん、最近レンくんみてないの?」
「べ、別に神宮寺レンは私の友人でもなんでもないです、上得意様でもプライベートなことは知りません詮索しません」
「あれ?そうなの?」
店長が新聞をおろして私の後頭部を見つめている気がする。
「そうなの?…って…そう、でしょう」
「デートに行った日にてっきり…」
「な、なんでそうなるんですか!」
思わず立ち上がって店長を睨んだ。
首筋がチリチリと灼けて、顔の温度が上がる。
店長は楽しそうにニコニコして、新聞を読み直すだけだった。