Fake Lovers 【ヒロアカ 相澤 R18】
第1章 潜入捜査1日目
「あ、あの……指名してくださって、ありがとうございます。……その、私、本当に今日が初めてで……至らないところがあったら、ごめんなさい」
「構わない。賑やかなのは苦手なんだ。お前くらい静かな方が落ち着く」
相澤は短く答え手元のお酒に口をつけた。
その横顔はいつも通りの「相澤消太」だが、にとっては生きた心地がしない。
初対面を装わなければならないのに、相手は自分の本職も、普段の立ち振る舞いも知り尽くしている人物なのだ。
(どうしよう……どういうテンションで会話すればいいの……!?)
「あの、お客様……お仕事帰りですか? なんだか少し、お疲れのように見えますけど……」
少しでも場を繋ごうと、は努めて甘めの声を意識しながら問いかけた。
相澤はグラスを置き、ふっと小さく息を吐く。
「……仕事帰りと言えば、仕事帰りだな。面倒な案件が片付かなくてね」
「そうなんですか……大変なんですね。どんなお仕事なんですか?」
「まあ……教育関係と、あとはまあ、雑用係みたいなもんだ」
(雑用係って……ヒーロー業のこと!?)
は心の中で突っ込みを入れつつ、相槌を打つ。
「へぇ、教育関係……! 教師の方なんですか? すごいですね、なんだかわかる気がします。落ち着いた雰囲気がありますし……」
「……そうか? 生徒からは煙たがられてばかりだがな」
相澤の言葉に普段の彼の苦労が垣間見えて、思わずクスッと笑いそうになる。
だが、今は「新人バニーガールのキャスト」だ。
笑いを噛み殺し少し首をかしげて見せた。
「そんなことないと思いますよ。きっと、すごく頼りにされてる先生なんだろうなって……私にはわかります」
「……」
相澤は無言でを見つめた。
その鋭い視線に、は背筋が伸びる思いがする。
まさか、正体がバレて呆れられているのだろうか。
それとも衣装があまりにも似合っていないと心の中で笑われているのだろうか。
沈黙に耐えかねたが「あの……?」と声をかけようとした瞬間、相澤が少しだけ身を寄せてきて耳元で低く呟いた。
「……その衣装、似合ってないとは言わんが。随分と大胆な『転職』をしたんだな、新人さん」
「っ……!?」