Fake Lovers 【ヒロアカ 相澤 R18】
第1章 潜入捜査1日目
「……わかりました。引き受けます。事件を早く解決するために、私にできることなら……!」
「ありがとう、助かるよ。……あ、それと衣装なんだがね、あらかじめ店側に指定された制服なんだが……これだ」
「はい、どんなものでも着れま……っ!!バニーガール……!?」
差し出された衣装のイメージ写真を見た瞬間、の覚悟は一瞬で吹き飛び、部屋中に小さな悲鳴が響き渡るのだった——。
◇
照明が少し落とされた店内には、重低音のBGMと甘ったるい香水の匂いが満ちていた。
鏡の前で最後の調整を終えたは、自分の姿を映し出して思わず小さく息を呑む。
胸元が大きく開いた黒のボディスーツに、ハイレグ気味のカット。
背中は曝け出され、お尻には控えめな白い尻尾がつき、頭には黒いウサギの耳のカチューシャが揺れる。
幾度となくヴィランと戦ってきた自分だが、この衣装の露出度と心許なさには、到底慣れそうにもなかった。
(……本当に、私なんかで良かったのかな……)
男性経験も決して豊富とは言えないが、今回のターゲットである新種ドラッグの流通ルートを潰すため、警察からの強い要請があった。
顔が知られていないプロヒーローであること、そしてこの店が求めるハイレベルの容姿とスタイルを備えていること。
断る理由はなかったが、不安と緊張で胃が締め付けられるようだった。
「ちゃん、準備できた? 初めてで緊張すると思うけど、笑顔でね。はい、いってらっしゃい!」
ボーイに背中を押され、重い扉を開けてフロアへと足を踏み出す。
華やかなキャストたちと、酒に酔いしれる客たち。
その独特の熱気に気圧されそうになりながらも、はプロとしての意識を呼び覚まそうと唇を噛みしめたその時だった——。
フロアの少し奥のボックス席のソファに深く腰掛け、グラスを弄している人物が視界に入った。
ボサボサの黒髪に疲れたような目元、そしてどこか立ち立ち込める独特の脱力感と圧。
(……え? なんで彼がここにっ!?……嘘でしょ……!?)
はその場で完全に足を止め、固まってしまった。