Fake Lovers 【ヒロアカ 相澤 R18】
第1章 潜入捜査1日目
「——というわけで、だ。君にこの潜入捜査をお願いしたい」
薄暗い取調室の一角。
書類の山を挟んで座る塚内は申し訳なさそうに、けれど真剣な眼差しでを見つめていた。
テーブルの上にあるのは数枚の捜査資料と、華やかなナイトクラブのパンフレット。
そこに躍っていたのは、繁華街で密かに噂される高級セクキャバと、そこで出回っているという新種の違法ドラッグの報告書だった。
「セクキャバ……にですか? 私が、そこに潜入を……?」
は思わず言葉を詰まらせた。
プロヒーローとして、事件の解決やヴィランの捕縛には幾度となく携わってきたが「セクキャバへの潜入」となると話は全く別だ。
「戸惑うのも無理はない。本当に申し訳ないと思っているよ」
塚内は深くため息をつき、眉間を揉んだ。
「ターゲットの店舗は非常に警戒心が強く、男性の捜査官はもちろん、顔の割れている有名なプロヒーローではすぐに足がついて警戒されてしまう。その点、君は実力がありながらもメディアへの露出を控えていて顔が割れていない。……そして何より、店の採用基準である『スタイルと容姿の良さ』を完璧に満たしているんだ」
「ス、スタイルと、容姿……ですか……」
ストレートな評価に、は頬が熱くなるのを覚えた。
正直に言って、男性経験も決して豊富とは言えない自分だ。
そんな大人の夜の店で、男性客を相手に上手く立ち回れるのだろうかという不安が胸の中で大きく膨らんでいく。
「もちろん、君の負担が大きいことは重々承知している。危険だと判断したらすぐに撤退してくれて構わない。……だが、このドラッグは若者を中心に被害が広がり始めていてね。一刻も早く流通ルートの元を断ちたいんだ。……力を貸してくれないだろうか」
塚内は深々と頭を下げた。
警察からの強い要請、そしてこれ以上被害者を増やさないためという正義感。
胸の奥で渦巻く緊張と不安感を必死に押し殺しながら、はギュッと拳を握りしめ意を決して頷いた。