第2章 体液がほしい
「ねえ、脹相。お願いがあるんだけど……」
夕食を終えた夜、二人でリビングにいたときのこと。
私は隣に座る脹相の袖を、そっと引っ張った。
「……なんだ?」
「えっとね……その……」
言い出そうとした途端、急に恥ずかしくなってしまった。
けれど、今日はちゃんと伝えようと決めていたのだ。
私は膝の上で指を組み、意を決して顔を上げた。
「……脹相の体液、ほしいなって……」
「…………は?」
脹相が固まった。
「……今、なんと言った?」
「えっ、あ、あの……体液っていうか、精液?を、少し分けてもらえたらなって……」
「ま、待て。どういうことだ」
彼は目に見えて慌て始めた。
「なぜ急にそんな話になる? いや、そもそも、お前は何を考えて……」
「あ、違うの! そういう、変な意味じゃなくて……!」
自分で言い出したくせに、私まで顔が熱くなる。
「脹相の身体って、普通の人間とは違うでしょう? だから、体液に何か特殊な性質や毒素が含まれているのか、研究してみたいなって……」
「……毒素?」
「うん。脹相が私とのことで不安に思っているなら、何が分かっていて、何が分かっていないのか、少しずつ調べていけたらいいなと思って」
脹相は黙り込んだ。
私の話を聞いて、ようやく意図を理解してくれたらしい。
私は、ずっと考えていたことをそのまま続けた。