第8章 脹相のやりたい方法で
「研究に協力するのは構わない。だが、お互いが本当に納得していることが大切だ。検体の採取するためにが無理をする必要はない」
「うん。ありがとう」
脹相はほっとしたように微笑んだ。
「……それに、試すなら、どうすれば安全に検体を採取できるのか、家入にも確認しておこう。きちんとした方法で行いたい」
「そうだね。私も詳しく聞いてみる!」
私が笑うと、脹相は握っていた手を優しく撫でた。
「それまでは、二人でゆっくり過ごせばいい」
「うん」
私は彼の肩に寄りかかった。
研究のために用意した小さな包装。
けれど、それをきっかけに、いつもより少し照れくさい空気が二人の間に流れていた。
「……大丈夫?ごめんね?」
「謝らなくていい」
脹相は私の手を握り直した。
「むしろ……嬉しいんだ」
「え?」
「お前が俺の気持ちを尊重してくれることがな」
彼は少し照れくさそうに視線を落とした。
「だからこそ、きちんと考えたい。お前にとっても、俺にとっても、無理のない方法を」
「……うん。二人で考えよう」
「ああ」
脹相は頷き、私をそっと抱き寄せた。
けれど、その頭の中では、まだ先ほどの言葉がぐるぐると回り続けていた。
――俺がしたい方法でいい。
信頼されていることが嬉しい。
恋人として受け入れられていることが嬉しい。
そして何より、そんなことを無邪気に言ってくる彼女が、どうしようもなく愛おしい。
「……本当に、敵わないな」
脹相はそう呟いて彼女を自分の胸元に抱き込んだ。
今はまだ、顔を見られたくなかった