第6章 ※また検体を
最近、脹相の体液に毒素が含まれているのかを調べる研究を始めた私は今日、三度目の採取をお願いしようと決めていた。
ただし、今回は朝のうちに採取しなければならない。
脹相が疲れても休めるようにと、脹相の休みの日に声をかけた。
「ねえ、脹相。お願いがあるんだけど……また体液を分けてもらえないかな? 今回は朝のうちに欲しいの」
脹相は私を見て、少し考えてから答えた。
「急ぎなら、…手伝ってくれるのか?」
「えっ……?」
思いがけない言葉に、私は頬を赤くした。
「私で手伝えるのなら、なんだってするよ。でも、朝だから時間がなくて……私の前でできる?」
恥ずかしそうに尋ねると、脹相は少しだけ視線を逸らした。
「……わかった。お前の研究に必要なんだろう?」
「うん。ありがとう!」
私は嬉しくなって、採取に必要な道具を準備した。
そして、採取容器を手に持つと、ソファに座る脹相の前にしゃがみ込んだ。
「私が手を貸すからね。出てきた体液には触れないように気をつけるよ。検査するものだから、混ざったりしたら困るし」
そう説明しながら顔を上げると、脹相は片手で顔を覆っていた。
「……脹相? どうしたの?」
「いや……これはこれで、緊張してしまう」
「えっ、緊張?」
「ああ。お前が目の前にいるからな……」
脹相は顔を隠したまま、小さくため息をついた。
「好きな女に見られていると思うと、どうにも意識してしまう」
「……っ!」
思わず私まで顔が熱くなった。
「わ、私は研究のために真剣にやってるだけだよ!」
「わかっている。お前が真面目なのは知っている」
そう言いながらも、脹相はなかなか顔を上げようとしなかった。
私はそんな彼が可愛くなって、そっと手を握った。
「大丈夫だよ。無理しなくていいからね」
「ああ……ありがとう」
脹相はようやく顔を上げ、私の手を握り返した。
「ただし、そこじゃなくて。」
「えっ?」
「ここに来てくれ。」
「っ」
まるで乗れと言うようにポンポンと膝を叩く。
私は言われように、そばへと寄った。
「跨って、座らないでくれ。ずっと膝立ちで俺の前にいてくれればいい。」
そう言われるがまま、私はソファに座る脹相に跨り、膝立ちで彼の上にいる。