第5章 秘密にしたほうがいい
「……おかえり」
脹相が立っていて、その顔を見た瞬間、私は我慢できなくなった。
「ただいま、脹相!」
靴を脱ぐと、真っ先に彼の胸へ飛び込んだ。
「……っ」
脹相は一瞬驚いたものの、すぐに私を抱きしめ返した。
「……おかえり」
大きな腕が、私の背中を包み込む。
「……会いたかった」
彼の声が耳元に落ちてきた。
「……私も。今日、廊下ですれ違ったとき、本当は凄く触れたかったんだよね」
「……俺もだ」
脹相は私の髪を優しく撫でた。
「人前では、あんなにも我慢しなければならないのだな」
「……うん。でも、こうして帰ってきたら、いっぱい触れられる」
私は顔を上げて笑った。
「脹相、大好き!」
彼は一瞬目を見開き、それから愛おしそうに目を細めた。
「ああ。……俺も愛している」
頬にキスが落ちる。
私も彼の頬にキスを返した。
「……ねえ、今日はいっぱい甘やかして?」
そうお願いすると、脹相は嬉しそうに私を抱きしめ直した。
「……そうだな。俺もそうしたい」
「やったぁ」
胸に顔を埋めると、彼の手がゆっくりと髪を撫でてくれる。
それだけで、今日一日の疲れが溶けていく気がした。
けれど、しばらくすると、脹相が私の顔を覗き込んだ。