第4章 ※もう一度検体を
脹相は、自室に戻ると扉を閉めた。
「…………」
そして、しばらくその場に立ち尽くした。
彼女の頼みを断るつもりはない。
自分の身体について調べたいという彼女の気持ちは理解しているし、研究が順調に進んでいるのなら、それは喜ばしいことだった。
……問題は、別のところにある。
「……落ち着け」
自分に言い聞かせるように呟く。
以前、彼女から初めて検体を求められたときも、ひどく動揺した。
そのうえ、家入に言われたという理由で、目の前で服を脱ぐなどという話まで飛び出したのだ。
あのときのことを思い出すだけで、今でも顔が熱くなる。
そして最近は、彼女とゆっくり過ごす時間がほとんどない。
抱きしめることも、頬に触れることも、彼女が起きているうちにする機会が減っていた。
だからこそ、今日のお願いも嬉しかった。
自分が彼女の役に立てる。
彼女が、自分を頼ってくれた。
それなのに。
「…………」
いざ準備を始めようとすると、どうにも思うようにいかなかった。
彼女の顔が浮かぶ。
嬉しそうに笑う顔。
恥ずかしそうに視線を逸らす顔。
そして、最近はなかなか見ることのできない、キスのあとに見せてくれるあの笑顔。
「……駄目だ」
脹相は額に手を当てた。
これでは、いつまで経っても終わらない。
リビングで待っている彼女に、余計な心配をかけてしまう。
そう思うのに、気持ちばかりが先走ってしまい、準備はなかなか進まなかった。