第3章 寝ている時だけは
「……っ」
脹相が息を呑む。
「……」
まるで、自分から抱きしめてほしいと伝えているようだった。
もちろん、眠っているだけなのだろう。
それでも、彼にとっては十分すぎるほど嬉しかった。
「……まったく」
口元が、自然と緩む。
脹相は彼女の背中に腕を回し、今度はほんの少しだけ、抱きしめる力を強めた。
起こさないように。
苦しくないように。
それでも、離れてしまわないように。
「……好きだ」
髪に顔を寄せて、囁く。
「愛している」
もう一度、額にキスをした。
本当は、頬にもキスをしたかった。
目を覚ましたお前が、照れながら笑ってくれるところも見たかった。
けれど、今夜は我慢する。
明日もお前は忙しい。
少しでも長く眠らせてやりたい。
その気持ちは、寂しさと同じくらい、確かなものだった。