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③呪術廻戦〜脹相と恋人と絡み〜

第3章 寝ている時だけは


「……本当に、無防備な奴だ」

小さく呟いて、脹相は私の髪を見つめた。

起きているときなら、髪に触れればくすぐったそうに笑う。

頬を撫でれば、気持ちよさそうに目を細める。

キスをすれば、きっと顔を赤くして、俺の名前を呼ぶだろう。

その声を聞きたい。

今すぐにでも、額にキスをして、頬を撫でて、起こしてしまわない程度に抱きしめたい。

……だが。
「……今日は、もう十分頑張ったな」

脹相は、私の寝顔に向かって囁いた。
今日も一日、休む暇もなかったのだろう。

疲れているのに、帰ってきてから俺に笑いかけてくれた。

眠くて仕方がないはずなのに、最後まで俺と一緒にいようとしてくれた。

そんなお前を、俺の寂しさを埋めるために起こしたくはなかった。

せめて、眠っている間くらいは
何も気にせず、ゆっくり休んでほしい。

そう思うから、脹相は彼女の頬に触れようとした手を止めた。
指先が、あと少しで肌に触れるところで止まる。
そして、しばらく迷ったあと。
彼は、そっと顔を近づけた。

「……一度だけだ」

誰に言い訳をするでもなく、小さく呟く。
彼女の額に、唇を落とした。

ほんの一瞬の、優しいキス。
それだけで満足しようと思った。

……思ったのに。

「……」

脹相は、再び彼女の顔を見つめてしまう。

あまりにも近くにいる。
腕を伸ばせば、いつでも抱きしめられる距離に。

それなのに、起きているお前と過ごす時間は、最近あまりにも短かった。

「……寂しいな」

声に出してみると、胸の奥にしまい込んでいた気持ちが、少しだけ形になった。

彼女が頑張っていることは知っている。

俺のために研究してくれていることも、決して簡単なことではないとわかっている。
だから、応援したい。

彼女の邪魔をしたくない。

疲れているなら、早く眠らせてやりたい。

それでも。
「……もう少し、俺にも構ってくれ」

小さな声だった。
もちろん、返事はない。

代わりに私は寝返りを打ち、無意識のまま彼の胸に顔を寄せた。

そして、彼の服をぎゅっと握ってくる。

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