【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第4章 OPERATION④
セリーナが石の床を歩くたびに、ヒールの音が廊下に響いた。
自分の執務室のドアにたどり着き、勢いよく中へ入ると、大きく息を吸い込んだ。
体の力が抜け、セリーナはドアに背をもたれたまま、しばらく俯いていた。
(…どうしたのよ私…、しっかりしなきゃ…)
なんであんなことを言ってしまったのだろう…。
先ほどアンジェラに投げかけた言葉が、自己嫌悪となってセリーナに押し寄せた。
ロイドが商談をまとめるためにアンジェラを利用していたとしても、そのことに苛立つ自分が、さらに腹立たしかった。
(ロイドはターゲット…、個人の感情は邪魔でしかない…)
自分が見てきたロイドと、OIDの資料に記されたロイド・フォージャー。
さらに調査の中で見えてくる彼の姿までが混ざり合い、セリーナの心をかき乱していた。
誘惑に乗って任務を遂行するなんて、慣れているはずだ。
(…いつものことよ…。ロイドが不正をしているなら、告発して相応の裁きを受けさせるべきよ)
そして、このオペレーション・ヴェールは終了する。
ロイドとセリーナの関係も、そこで終幕を迎える。
結末の見えている芝居だ。
セリーナは何度も頭の中で繰り返し、意を決めると顔を上げた。