【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第4章 OPERATION④
西国との交渉初期に作成された書類の原本を確認する機会が、思いがけず舞い込んできたのだ。
(これで、どの段階で不正が行われたのか分かるかもしれない)
セリーナは目を細めてキャリーケースを見た後、ローレンを見上げた。
「…実は、リヒター補佐官に相談があるんです」
セリーナは声を極端に落とし、周囲を気にしながらローレンのそばに近づいた。
深刻そうなその表情に、ローレンはセリーナが何か悩みを抱えているのだと思った。
「急ぎなら、今からでも時間を作るか?」
「…いいえ…ここでは…」
セリーナは意味ありげに、わざと周囲へ視線を走らせた。
その仕草から、ローレンは職場では簡単に話せない重要な相談なのだと勝手に考えた。
セリーナの立場なら、ローレンがそう思うのも仕方ない。
そもそも、セリーナにとって上司にあたるのは、大臣とローレンだけなのだ。
ローレンがセリーナを気遣うのは当たり前だった。
結局、セリーナはローレンに、仕事終わりのわずかな時間を取ってもらえることになった。
ローレンがキャリーケースを持っていなければ意味がないが、セリーナはその短い時間だけでも十分だと考えた。