【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第4章 OPERATION④
限られた人間しか入ることのできない最上階には、大臣や補佐官、秘書官たちの執務室が設けられている。
セリーナは自分の執務室に向かっていると、背後から声をかけられた。
「ローゼン秘書官」
セリーナが振り返ると、そこには若き大臣補佐官、ローレン・リヒターが立っていた。
ローレンは灰褐色の髪で、細身のスーツを着こなし、銀縁眼鏡を掛けている。
冷静沈着で礼儀正しいが隙のない彼は、ヴァルター大臣の右腕として、企業との交渉や重要政策に関わっている。
将来の大臣候補とも目される、上級官僚の一人だ。
「おかえりなさいませ、リヒター補佐官」
セリーナは柔らかい笑みを浮かべて、キャリーケースを引いているローレンを見上げた。
「いや、また明朝の便で西国に行くんだ。今日は空港付近に前泊だよ」
ローレンは苦笑いを浮かべながら、少し疲れた様子で言った。
セリーナはローレンの傍らに置かれたキャリーケースに目をやった。
このケースの中には、西国との交渉に使う書類が入っているはずだ。
セリーナは輸入された物資の調査をしていたが、手にしていたのは大臣が目を通し、署名した後の書類だけだった。