【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第4章 OPERATION④
ハルトマン通商と、その取引先や関連会社数百社。
これでもセリーナの机に載っている書類は、工作員たちが寝ずに確認し、調査を重ね、小さな綻びを見つけて厳選した報告書だ。
「…ほとんどが東国海軍への納入品ね…」
当然、軍事組織には国の予算が当てられている。
これが「不正」なのかどうかは、紙切れ数枚では分からない。
セリーナの執務室に三度のノックが響いた。
「ハイ、セリーナ。わぁ、すごいことになっているわね」
入ってきたのはエリーゼだ。
彼女は書類に埋もれたセリーナの周囲を見渡しながら言った。
「…本当に、早く映画のように人工頭脳に活躍してもらいたいものだわ」
セリーナは失笑しながら、手に持っていた書類を机の上に投げつけた。
「…ロイドを調査するのは諦めたの?」
エリーゼはセリーナの机に両手をつくと、彼女の顔を見下ろしながら聞いた。
「…別に…、合理的に他の観点からも調べているだけよ」
セリーナはエリーゼの緑色の瞳をじっと見ながら言った。
エリーゼに言ったことは嘘ではない。
しかし、エリーゼにそう言われても仕方がないほど、セリーナはここ3ヶ月、ロイドの調査で上層部に報告できる成果を挙げられていなかった。