【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第1章 OPERATION①
「連れが居たとは知らなかった…」
男は情けなく言い訳をすると、そそくさとバーから出て行った。
ロイドは彼女の肩に手を置いたまま、男が見えなくなるまでその背中を追っていた。
「っ…ふっ…」
彼女から小さく息が漏れると、ロイドの手の下でその肩が震え始めた。
「ふふっ、ハニーって…っ」
彼女はとうとう笑いを堪えきれなくなった。
ロイドは思わず頬を赤らめた。
「助けて欲しそうだったので、演技に乗ったまでです」
ロイドは恥ずかしさを隠すために、むっとしたように彼女の肩から手を離した。
「ごめんなさい…あまりにも自然に嘘をつくから…」
謝っているのに、彼女はまだ笑みを抑えられていなかった。
嘘をつくことなど、息をするのと同じくらい簡単なはずだった。
恋人のふりだって、恥ずかしげもなく出来るはずなのに、笑う彼女を見ていると妙に調子が狂った。
ひとしきり笑った彼女は、大きく息を吸ってゆっくりと吐いた。
そして改めてロイドと向かい合うと、立ったままの彼の上着の裾を控えめにつまんだ。
「お礼に一杯奢るわ。ダーリン」