【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第1章 OPERATION①
すぐに劇場で会った彼女だと分かったが、今度は先ほどとは違い、彼女の隣に男が座っていた。
男は彼女に夢中で話しかけているが、彼女は男と視線すら合わせていない。
先ほどの彼女の振る舞いからは、想像もできない態度だった。
俯いていた彼女が顔を上げ、琥珀色の瞳がロイドの碧眼を捉えた。
どうやら彼女の隣の男は招かれざる客のようだが、ロイドが関わるメリットはない。
しかし、わざわざバーを出るほどのことでもないので、ロイドはカウンター席に座る二人の背後を通り、奥の空席へ向かおうとした。
二人の背後に差しかかった時、男の手がドレスから覗く彼女の背中に回された。
その無遠慮な振る舞いに、ロイドは不快感を覚えた。
咄嗟に男の手を制止しようとした瞬間、彼女の細い指がロイドの手首を掴んだ。
「ここよ。あなた」
彼女は先ほどの穏やかな笑みを浮かべながらロイドを見上げた。
ロイドは瞬時に、自分が何を求められているか気が付いた。
「ごめんよ、ハニー。遅くなった」
ロイドは彼女の肩に手を置くと、隣にいる男に鋭い視線を向けた。
男は肩をびくりと震わせ、慌てて席を立った。