【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第3章 OPERATION③
「俺を拒むなら、その顔をやめろ」
ロイドの笑みは薄れ、いつもより低い声がセリーナの耳に届いた。
その声色が、あの夜のロイドをセリーナに思い出させた。
「…どんな顔だって言うのよ」
「…自分がどんな顔をしているのか分かっていないのか?」
困惑しているセリーナの頬に触れると、ロイドはさらに顔を近づけた。
「『ロイド・フォージャーが欲しくてたまらない』そんな顔だ」
ロイドはからかうように告げた。
そのあからさまな誘惑が、かえってセリーナを冷静にさせた。
「…私、普段はあんなことしないって言ったわよね」
「…俺だってそうだ」
実際、ロイドは深い関係にならなければ情報を聞き出せないほど未熟ではない。
セリーナもまた、こうした場面でのあしらい方も熟知している。
なのに、どうして彼女を前にすると『いつも通り』ができないのだろう。
ロイドは自分が冷静さを保っているのに、必死にセリーナを口説いていることが理解出来なかった。
まるで本当に、最愛の恋人を見つけたかのようにセリーナを求めている。
支障ない。
これも計画の内だ。
だけどロイドの判断を鈍らせるのはいつもセリーナだった。