【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第2章 OPERATION②
その時、セリーナはあの夜のロイドを思い出した。
オペラ劇場で会った彼。
バーで会った彼。
そして…ベッドでの彼。
途端に顔が熱くなるのを感じた。
「…特別秘書官に取り入ろうとするなら、私を商談の担当から外したりしないわ」
「それもそうね」
じゃあ、本当に偶然なのかしら、エリーゼは独り言のように呟いた。
「とにかく、もう一度ロイド・フォージャーを洗い直すわ」
そう言うとセリーナは椅子から立ち上がった。
勢いよく部屋を出ると、そのまま廊下を進んだ。
廊下の突き当たりには鉄製の扉があり、その前に二人の警備兵が立っていた。
セリーナが近づくと、一人が身分証を確認し、もう一人が内線電話で入室の許可を取った。
重たい扉が開かれると、そこには表の商務省とはまったく異なる光景が広がっていた。
広大な執務室には数十台の机が整然と並び、職員たちが膨大な資料に目を通している。
壁一面には東西両国の地図が掲げられ、主要都市や軍事施設、国境沿いの重要拠点には色分けされた印が付けられていた。
部屋の奥ではタイプライターを叩く乾いた音が絶え間なく響き、別の一角では通信担当者がヘッドフォンを耳に当て、受信した情報を記録している。
書類を抱えて足早に行き交う職員たちの間では、小声の報告や指示が飛び交っていた。
ここは東国情報総局の工作活動を支える、情報分析と作戦指揮の中枢だった。