【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第2章 OPERATION②
「思いのほか『問題も多く』、3ヶ月かかったわ」
セリーナは万年筆を置き、エリーゼの顔をじっと見て言った。
セリーナの言葉に、エリーゼは目を細めて柔らかく笑った。
「帰ってきたばかりで悪いけど、次の『スケジュール』よ。すぐに当たってもらうわ」
エリーゼはセリーナに紙を渡すと、重厚な執務机の縁に腰掛けた。
そして机に手を置くと、人差し指でリズミカルに叩いた。
トントン。トン。トン。
セリーナは受け取った紙から目を離さずに、エリーゼが奏でる音だけを聞いていた。
セリーナの手にある紙には何も書かれていない。
セリーナはエリーゼが奏でた音を聞き終えると、机の裏にあるボタンを押した。
同時に大きな窓と入り口を覆うように、分厚い防音シャッターが自動で降りてきた。
部屋が完全に遮音されたことを確認すると、セリーナは椅子に深く座り、大きな息を吐いた。
「…ここ数年…、この椅子に座って仕事した時間って、合わせて何時間かしら」
セリーナは紙を真っ二つに破りながら、椅子に背中を預けて天井を仰いだ。
「東国情報総局(OID)の工作員を引退して、東国商務省の特別秘書官に腰を据える?」