【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第2章 OPERATION②
東国の首都バーリント。
政府機関が集中する官庁街の一角に、東国商務省の本庁舎がそびえ立っていた。
重厚な石造りの建物には東国の国旗が掲げられ、正面玄関には警備兵が配置されている。
商務省は国内の産業政策から外国との貿易交渉までを管轄し、東国経済の中枢を担う重要な政府機関だった。
その庁舎の最上階には、商務大臣の執務室が置かれている。
そして、その隣に設けられた一室が、特別秘書官であるセリーナの執務室だった。
磨き上げられた木製の机には、各国との貿易協定に関する資料や、大臣の予定表が整然と並べられていた。
大きな窓の向こうには、バーリントの街並みが広がっている。
セリーナは机に置かれた書類に目を通すと、万年筆を手に取った。
商務大臣の特別秘書官。
それが、東国政府の中で彼女に与えられた肩書きだった。
セリーナが書類に署名しようとした時、執務室の扉がノックされた。
「ハイ、セリーナ。『中部地区での視察』はどうだった?」
重厚な扉を開けて入ってきたのは、セリーナの同僚のエリーゼ・ブラントだった。