夢蝕のデバッグ 〜ゾンビと淫触に墜ちる高額アルバイト〜
第4章 バイト3日目 〜蟲輪姦〜
どれくらいそうしていたか、震えていると無機質なチャイムの音が部屋に響いた。
「——終業時間です。さん、本日のレポートを提出してください」
スピーカーから流れる感情のないその声に弾かれたように、は震える手でパソコンの前に座った。
(書かなきゃ。……でも、なんて……?)
キーボードの上に置いた指が、石のように動かない。
『夢と同じ内容だった』
『ゾンビに犯されるシーンが、あまりにもリアルで怖かった』
……そんなこと、書けるはずがない。
もし書けば、あのスタッフはニタリと笑って、『素晴らしいデータです』と言うに決まっている。
(……でも、書かないと。終わらない……)
画面を見つめたまま、時間だけが過ぎていく。
——カチャ。
「……おや、さん。まだレポートが終わっていないのですか?」
絶妙なタイミングで控室のドアが開き、スタッフが入ってきた。
彼はデスクの横に立つとパソコンの画面と、硬直しているの顔を交互に見比べた。
「……いえ、その……」
は心臓が跳ね上がるのを感じながら、必死に言葉を探した。
「……ちょっと、内容がショック過ぎて……まとめるのに、時間がかかってしまって……」
「それは、良い傾向ですね。……それだけ、ゲームの『恐怖』が、あなたの心に深く刻まれている証拠です。我々が求めているのは、まさにその『反応』ですから。……さあ、時間は有限です。当たり障りのない感想でも構いませんから、早く打ち込んでください」
スタッフのプレッシャーに押され、は震える指でキーボードを叩いた。
『本日もバリケード脱出を目指してプレイした。ゾンビの数が増え、銃弾が尽きてしまった。新しい種類のゾンビが登場し、以前よりも恐怖感が増した』
これ以上ないほど感情を殺した、事務的な内容。
スタッフはそれを一読すると、満足げに頷いた。
「結構です。……それでは、夕食を摂って、ゆっくり休んでください。……ああ、そうそう。今夜は、昨夜よりもさらにリラックスできるハーブティーを用意させますから。良い夢が見られるといいですね」
スタッフはそう言ってニタリと笑い、部屋を出て行った。