第4章 雄英体育祭編
「……何笑ってやがる」
「ううん」
彼女は首を横に振る。
「爆豪くんらしいなって」
「……当たり前だろ」
爆豪は鼻を鳴らす。
「俺が一位になるんだからな」
その言葉を聞いた彼女は、ふっと笑った。
「じゃあ――」
ほんの少しだけ、挑戦するように。
「私も頑張らないとね」
爆豪の目が鋭くなる。
「……あ?」
「踏み台には、なりたくないから」
一瞬、爆豪が黙った。
「……上等だ」
その口元に、獰猛な笑みが浮かんだ。
そのやり取りを見ていた切島が、隣の上鳴へ小声で言う。
「……なんか始まってね?」
「始まってるな」
上鳴も頷く。
「体育祭、まだ第一種目始まってないのに」
二人の前では、爆豪と彼女が静かに視線を交わしている。
「さァ! いよいよ一年生、第一種目だァ!!」
プレゼント・マイクの声がスタジアム中に響き渡った。
「障害物競走~~~~!!」
再び、会場が大歓声に包まれる。
彼女は静かに前を向いた。
公安として、雄英高校一年生として。
(さて……)
体操服の袖を軽く整える。
(やるしかないか)
その隣で、爆豪はすでに戦う者の目をしていた。
こうして。
雄英体育祭、第一種目――障害物競走が始まろうとしていた。