第4章 雄英体育祭編
壇上に立った爆豪。
ミッドナイトがマイクを差し出す。
「それじゃあ、よろしくね♡」
爆豪はマイクを受け取った。
そして、観客席を見渡す。
その表情は、いつもの不機嫌そうな顔ではなかった。
獲物を見つけた獣のような――
それでいて、妙に堂々とした笑み。
「……宣誓」
会場が静まり返る。
爆豪は、ゆっくりと口を開いた。
「俺が一位になる」
ざわっ――。
観客席がどよめく。
「せいぜい――」
口角が上がる。
「いい踏み台になってくれ」
沈黙。
そして――
「うわぁ……」
A組のあちこちから、呆れた声が漏れた。
「やっぱりやった!!」
「絶対そう言うと思った!!」
「選手宣誓だぞ!?」
「普通もっと爽やかなこと言うだろ!!」
飯田が両手をぶんぶん振る。
「爆豪くん!! 選手宣誓とは、そういうものではない!!」
「うるせぇ!!」
「いや、でも爆豪らしいっちゃ爆豪らしいよな……」
切島が苦笑する。
「むしろ、普通に宣誓した方が怖ぇよ」
「分かる」
上鳴も頷く。
「爆豪が『みんなで仲良く頑張ります』とか言ったら、俺たぶん熱でもあるのかと思う」
「それはそう」
蛙吹が淡々と頷いた。
緑谷は額に手を当てる。
「かっちゃん……選手宣誓なんだから……」
「うるせぇデク!!」
そんなA組の反応を見ながら、彼女は思わず口元を押さえた。
(……やっぱり)
思った通りだった。彼の目には、一切の迷いがない。
自分が勝つ。
そのためなら、他の全員を踏み越えていく。
その意志を、堂々と口にする。
(……すごいな)
公安の世界では、自分の目的をここまで真っ直ぐ口にする人間は珍しい。
普通なら、もっと隠す。相手に悟らせない。手の内を見せない。
けれど彼は、真逆だ。
「俺が勝つ」
それだけを、誰よりも堂々と宣言する。
彼女は小さく笑った。
(本当に、眩しい人)
すると、壇上から戻ってきた爆豪と、目が合った。
爆豪が眉を上げる。