第4章 雄英体育祭編
雄英体育祭――開会式。
一年生全員が、スタジアム中央に整列していた。
全員、雄英指定の体育祭用体操服。
観客席には、朝から詰めかけた大勢の観客。
テレビカメラも回り、全国へ向けてこの様子が生中継されている。
その中央。
壇上へと、一人の女性が颯爽と姿を現した。
「さァ~~~~て!! 今年も始まりました、雄英体育祭!!」
高らかな声がスタジアム中に響き渡る。
司会進行を務めるのは、プロヒーロー――ミッドナイト。
その艶やかな衣装と妖艶な雰囲気に、観客席からも歓声が上がる。
「一年生諸君! ここから先は、君たちが全国のヒーロー関係者に見られることになるわよ!」
ミッドナイトが、意味ありげに笑う。
「つまり――」
ビシッ!
マイクを一年生たちへ向けた。
「ここで目立った者が、未来のトップヒーローへの第一歩を踏み出すってこと!」
生徒たちの間から、ざわめきが起こる。
彼女はその様子を眺めながら、静かに息を吐いた。
(……目立つ、か)
公安からの指示を思い出す。
今回の体育祭は、任務の場でもある。
できるだけ目立たず、必要な情報を集める。
そう決めていた。
「そして!」
ミッドナイトが、突然声を張り上げる。
「選手宣誓よ!」
会場がざわめく。
「今年の選手宣誓を務めるのは――」
ミッドナイトが、一人の生徒へ視線を向けた。
「入試成績、堂々の第一位!」
一斉に視線が集まる。
「爆豪勝己!!」
周囲から拍手が起こる。
「え、爆豪が選手宣誓!?」
「入試一位だからじゃない?」
「納得……なのかな?」
A組の面々も一斉に爆豪を見る。
爆豪はしばらく無言で立っていた。
「……チッ」
ゆっくりと壇上へ歩いていく。
その姿を見ながら、彼女は少しだけ首を傾げた。
(選手宣誓……)
普通なら。
「正々堂々と戦います」
「全力を尽くします」そんな言葉が定番だ。
だが、彼女は爆豪の横顔を見て、なんとなく嫌な予感がした。
(……この人が、普通に宣誓するとは思えない)