第4章 雄英体育祭編
体育祭。
その言葉を聞いた瞬間から、爆豪の中で、何かが燃え上がっていた。
「全国中継される雄英の一大イベントだ。お前らも――」
相澤の説明など、半分も耳に入っていない。
完膚なきまでの一位。それ以外に興味はない。
誰が相手だろうが関係ない。半分野郎、デク、その他の連中全員、ぶっ飛ばして自分が上へ行く。
――ただ
「…………」
爆豪の視線が、おもちへ向いた。
この女。周囲の盛り上がりから少し離れて、クラスを眺めている。笑っている。誰かと話している。一見すれば、いつもの彼女だ。USJで見た、あの個性。
支配。
何をどうやっているのか、詳しいことは分からない。だから余計に腹が立つ。分からない。読めない。それなのに――クソみたいに強い。
「……チッ」
舌打ちが漏れる。
爆豪は椅子に深く座り直した。
雄英体育祭では、ルールの中で、正面から全力で戦える。
「……クソが」
口元が吊り上がる。知らず知らずのうちに、手のひらに汗が滲んでいた。
爆発を起こす前のような、あの感覚。
体の奥がざわつく。
心臓が妙に速い。
頭の中が熱くなる。
もっと見たい。あいつの個性。あいつの動き。あいつが、どこまでやれるのか。
そして、自分の爆発を、あいつにぶつけたらどうなるのか。
「…………ハッ」
笑いが漏れた。
楽しみだった。
どう攻略する?
どう崩す?
まず距離を取らせる。
支配の条件が分からないなら、迂闊に近づくのは危険だ。
なら、爆発で牽制して動きを制限する。
その上で――いや、逆だ。
真正面から突っ込んで、発動条件を見極める。
あいつが何をしてくるのか自分の身で確かめる。
「…………」
爆豪の目が獰猛に細くなる。
怖い?
そんなもの知るか。
分からねぇから面白い。強ぇから叩き潰したくなる。
手の内が見えねぇなら――
全部吐き出させるまで追い込めばいい。
爆豪の中には、そういう単純で荒々しい衝動があった。
強い相手を見ると、身体が勝手に前へ出たがる。
自分より上がいるなら、引きずり下ろしたくなる。
自分の力がどこまで通用するのか。
それを、頭で考えるより先に――身体が知りたがっている。