第4章 雄英体育祭編
――個性の使用許可
今回、それが正式に下りた。
彼女は机の下で、そっと指先を握る。
(……使っていい)
その意味を、彼女は誰よりも理解していた。
体育祭で結果を残すこと。
ヒーローを目指す生徒として振る舞うこと。
クラスメイトと競い合い、笑い、悔しがり、喜ぶこと。
そして、その中で、誰が不自然な動きをするのか。
誰が情報を探っているのか。
誰が、外部と繋がっているのか。
見極める。
――内通者を警戒させてはいけない。
だからこそ、今回の彼女に求められているのは、
「高校生らしくあること」だった。
(……皮肉ね)
彼女は心の中で、ほんの少しだけ笑った。
公安から命じられた任務のため、敵を欺くため、クラスメイトと肩を並べ、青春を演じる。
けれど、それだけではない。
このクラスで過ごす時間が、彼女にとって本物になり始めていることも、彼女自身が気づいていた。
一方で、対抗心を燃やす少年が一人…