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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第16章 雄英文化祭編


「エリちゃん?」

緑谷が気づいて声をかける。
しかし、エリは返事をしなかった。

小さな足で、一歩ずつ。

音を立てないように、慎重に。
まるで、近づいたら消えてしまうものを追いかけるように、おもちのもとへ歩いていく。


通形はその様子を不思議そうに見つめていた。

「あれ?エリちゃん、どこに……」

緑谷も、エリの視線の先を追う。
そこにいたのは、バンド練習に参加しているおもちだった。


エリは彼女のすぐそばまで来ると、立ち止まった。
そして。


きゅっ。
小さな手が、彼女のスカートの裾をつまんだ。

おもちは、最初、誰かが近くに来たことに気づいていなかった。

耳郎と楽譜を確認していた彼女は、裾を引かれる感触に気づき、ゆっくりと視線を落とした。


そこにいたのは。

「!!」

息が止まりそうになった。
小さな身体。
不安そうに揺れる瞳。
そして、自分を見上げる、あの少女。

――エリちゃん。

心の中で、その名前を呼んだ。
あの日、死穢八斎會の屋敷で出会った少女。
誰にも助けを求められず、傷つくことに慣れてしまっていた、小さな女の子。


彼女を救うために、自分はステラとして任務に身を投じた。
正体を隠し、敵の懐に入り、危険を冒して情報を集めた。
そして最後には、緑谷に託した。

自分が彼女のそばにいられなくなったとしても、緑谷ならきっと救ってくれると信じて。


あの時、エリに向けた言葉も。
抱きしめたエリの温もりも。
自分の正体を知らないまま、彼女が必死に差し出してくれた小さな手も。

何ひとつ、忘れてはいない。
けれど、今の自分はステラではなかった。


髪の色も、装いも、纏う雰囲気も違う。


彼女が知っているのは、死穢八斎會に潜入していた金髪の髪を揺らし、華やかな化粧を施した女性。

目の前にいるのは、雄英高校の制服を着た、ひとりの生徒。

普通なら、気づくはずがないほどの完璧な変装をしていた。

それなのに。

エリは、おもちの顔をじっと見つめていた。

その小さな手が、スカートの裾を握る力を強める。
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