第16章 雄英文化祭編
その日の夜。
雄英高校の寮、リビングにはクラスメイトたちが集まっていた。
文化祭の出し物を決めるための、二度目の話し合いである。
ただし、全員が揃っているわけではなかった。
「悪ぃ。俺、先に寝るわ」
夕食を終えた爆豪は、そう言い残して早々に自室へ引き上げてしまった。
一方、緑谷、切島、蛙吹、麗日の四人は、インターン組として補習のために学内に残っている。彼らが戻ってくる頃には、話し合いも終わっているだろう。
「というわけで、今回はこの場にいる者たちで話し合い、決定した内容に、参加できなかった者たちも従うという形でよろしいだろうか!」
飯田が眼鏡を押し上げながら、確認する。
「いいんじゃね?いつまでも決まんねぇし」
瀬呂がソファの背もたれに腕をかけた。
「次のホームルームまでに決めなきゃ、公開授業だもんね……」
芦戸が遠い目をする。
「それだけは絶対に避けたいですわね」
八百万も苦笑した。
「よし!では、改めて意見を出し合おう!」
飯田はホワイトボードの前に立ち、ペンを手に取った。
しかし、前回と同じように案を出し合っていては、また決まらない可能性がある。
そこで飯田は、少し考えたあと、真剣な表情で口を開いた。
「一つ、提案がある!」
全員の視線が集まる。
「今回の文化祭は、学内のみでの開催となる。ヴィランによる襲撃や、それに伴う全寮制への移行など、ヒーロー科の我々だけでなく、他の科の生徒たちにも負担がかかっているはずだ」
「……確かに」
障子が頷いた。
「だからこそ、俺たちの出し物は、他の科の生徒たちが楽しめて、日頃のストレスを発散できるようなものにするべきではないだろうか!」
飯田の言葉に、リビングの空気が少し変わった。
自分たちが文化祭を楽しむことばかり考えていたが、確かに、雄英の生徒たちは皆、それぞれの事情を抱えている。
ヒーロー科の生徒たちは、ヴィランと直接対峙する危険な経験を重ねてきた。
けれど、同じ学校で学ぶサポート科や経営科、普通科の生徒たちも、何も感じずに過ごしていたわけではないだろう。
「なるほどな。俺たちの出し物で、みんなに楽しんでもらおうってことか」
上鳴が頷く。