第16章 雄英文化祭編
「……ふふっ」
思わず、笑みがこぼれる。
その声に気づいた耳郎が、こちらを向いた。
「……おもち?」
「うん?」
「何か、楽しそうだけど……」
「ううん。みんなが素敵だなって思って」
そう答えると、おもちはソファから立ち上がった。
そして、少し照れた様子の耳郎のそばまで歩いていく。
「私も、耳郎さんの生歌、聴きたい」
「……っ!?」
耳郎の顔が、一瞬で真っ赤になった。
「な、何言ってんの!?おもちまで!」
「本当だよ?」
おもちは、柔らかく微笑んだ。
「耳郎さんが音楽を好きなこと、私は素敵だと思う。好きなことを、みんなのために活かせるなんて、すごくいいことだもの」
「…………」
耳郎は、何も言えなくなった。
おもちの言葉には、無理に背中を押そうとする強引さがなかった。
ただ、自分の好きなものを大切にしていいのだと、静かに伝えてくれる。
その優しさが、じんわりと胸に沁みた。
「……ありがと」
耳郎は小さく呟いた。
おもちは、そんな彼女の手をそっと取った。
「一緒にいいもの作ろう!」
まっすぐな笑顔。
その言葉に、耳郎の表情も、少しずつ明るくなっていった。
「……うん!」
今度は、迷いのない返事だった。
「やるからには、絶対にいい曲を作る。みんなが楽しめるような、最高のやつを!」
「おおおおお!!」
上鳴が両手を突き上げる。
「さすが耳郎!頼りになるぜ!!」
「だから、あんたは調子に乗りすぎ!」
耳郎は顔を赤くしたまま言い返した。
その声に、リビングがまた笑いに包まれる。
飯田はホワイトボードに大きく書き込んだ。
文化祭の出し物案:ダンスパフォーマンス