第3章 USJ襲撃事件編
「まず轟くんは――」
彼女は何気なく口にした。
「判断が速い」
「……え?」
「戦闘中でも感情に引っ張られにくい。状況を俯瞰して、自分が今何をするべきかを判断できる。個性の制圧力も高いし、広範囲を一人で制御できるのはかなり大きな強みだと思う」
女子たちがぽかんとする。
「……」
「それに、他人の能力をちゃんと見てる。自分の判断だけを押し通すタイプじゃない」
彼女はそこで少しだけ笑った。
「ただし、自分の感情については鈍いところがあるかな。言葉にするより先に行動に出るタイプだから、本人が自覚していないことも多そう」
「……なんか」
耳郎が呟く。
「めちゃくちゃ分析してない?」
「そう?」
「そうだよ!」
芦戸が笑う。
「じゃあ爆豪は!?」
「爆豪くんは――」
彼女は少し間を置いた。
「もっと分かりやすい」
「分かりやすい?」
「うん」
「まず、観察力が高い。戦闘中の相手の癖や動きをかなり細かく見てる。瞬間的な判断力も高いし、状況が崩れた時の対応も速い」
「……」
「それと、自分の弱点を人に見せるのを嫌うから、追い込まれた時ほど攻撃的になる。でも、あれは単純に怒ってるだけじゃないと思う」
彼女の声が少しだけ落ち着く。
「自分が何をすれば状況を動かせるか、常に考えてる感じかな」
「へぇ……」
「あと、仲間への指示も意外と的確。本人は絶対認めないだろうけど…」
「それ、めっちゃ分かる!」
芦戸が手を叩く。
「爆豪、口は最悪だけど戦闘になると周り見てるもんね!」
「うん」
彼女は頷く。
「ただ……」
「ただ?」
「自分の感情が判断に混ざった時は、少し危ういなとは思う。」
「……!」
彼女は淡々と続ける。
「負けたくない、認められたい、追いつきたい。そういう感情が強いから、そこを刺激されると普段以上に無茶をするのが爆豪くんかな。…ただの主観だけどね」
「……」
一瞬、女子たちは静かになった。
まるで教師の評価を聞いているようだった。
「おもちちゃん……」
麗日が恐る恐る口を開く。
「なんか、二人のことめちゃめちゃ見とるよね」
「え?」
「私たち、そんなところまで考えたことないもん」
彼女は首を傾げる。
「クラスメイトなら、これくらい普通じゃない?」