第16章 雄英文化祭編
「……チッ」
爆豪は不機嫌そうにそっぽを向いた。
その間にも、教室では話し合いが続いていた。
「だから、クレープがいいって!」
「いや、おもちも捨てがたい!」
「ダンスもいいと思うんだけどなぁ!」
「メイド喫茶だろ!!」
「デスマッチだっつってんだろうが!!」
「爆豪くんは黙ってて!!」
もはや、話し合いというより、主張のぶつけ合いである。
飯田は必死に議事録を取っていたが、書き留める案が増えるばかりで、決定には一向に近づかない。
そして。
キーンコーンカーンコーン。
無情にも、チャイムが鳴り響いた。
「…………」
教室が静まり返る。
飯田が、手元のメモを見下ろした。
そこには、いくつもの案が並んでいる。
メイド喫茶。
おもち屋。
クレープ屋。
ダンス。
デスマッチ。
そのほか、思いつくままに書き足された案の数々。
しかし、決定事項の欄は、見事なまでに空白だった。
「……決まらなかったな」
切島がぽつりと呟いた。
「決まらなかったねぇ……」
芦戸も肩を落とす。
「時間が足りなかったのは仕方がないが、次のホームルームまでには、ある程度絞り込んでおく必要があるな!」
飯田が真面目にまとめようとした、そのとき。
教室の前方で、ずっと様子を見ていた相澤が、ゆっくりと立ち上がった。
「……お前ら」
低い声に、全員が一斉に振り向く。
相澤は、いつも以上に鋭い目つきでクラスを見渡した。
「次のホームルームまでに、出し物を決めておけ」
「は、はい!」
飯田が背筋を伸ばす。