第16章 雄英文化祭編
十月。
秋も深まり、雄英高校の校内にも、少しずつ秋らしい空気が漂い始めていた。
そんなある日のホームルーム。
教壇に立った相澤は、眠たげな目で教室を見渡すと、いつも通りの気だるい声で告げた。
「十月に入った。そろそろ文化祭の準備を始める」
「…………」
一瞬の沈黙。
次の瞬間。
「「「文化祭!?」」」
教室が一気にざわめいた。
「うわ、学校っぽい!!」
上鳴が机を叩いて立ち上がる。
「文化祭って、あれだろ!?出し物とかして、みんなでワイワイやるやつ!」
「そりゃ文化祭なんだから、そうだろ」
瀬呂が呆れたように突っ込む。
「いや、だってよ!俺たち、雄英に入ってから色々ありすぎて、普通の高校生っぽいイベントってあんまりなかったじゃん!」
「確かに……!」
切島が大きく頷いた。
「体育祭もあったけど、あれはヒーロー科の試験みたいなもんだったしな!」
「文化祭かぁ……!」
芦戸が目を輝かせ、隣に座る麗日の肩を揺さぶる。
「ねえねえ、何する!?何がいい!?」
「ええっ、もう考えるん!?でも、楽しそうやなぁ!」
クラスのあちこちから、弾んだ声が上がった。
ヴィランによる襲撃が相次いだ今年、雄英高校にとっても、文化祭の開催は簡単に決められることではなかったはずだ。
しかし、雄英にはヒーロー科だけでなく、サポート科も、経営科も、普通科もある。
学校全体の行事である以上、ヒーロー科だけの事情で中止にするわけにもいかない。
もっとも、今回は安全面への配慮から、一般客を招かず、学内だけで行う文化祭となった。
それでも、クラスメイトたちにとっては待ちに待った、普通の高校生らしいイベントだった。
「……お前ら、盛り上がるのはいいが、まずは出し物を決めろ」
相澤が面倒くさそうに言った。
「クラスの出し物については、飯田を中心に話し合っておけ。ホームルームの時間を使っていい」
「はっ!承知した!!」
飯田が勢いよく立ち上がり、眼鏡を光らせる。
「では、まずは全員から案を出してもらおう!それぞれの意見を尊重し、合理的に決定していきたい!」
「はーい!」