• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第15章 死穢八齋會


一方、爆豪はというと。


先ほどから、ずっと彼女を見ていた。

二十一歳。

公安の人間。

オールマイトの姪。

そして、自分たちが想像もできないような世界を生きてきた女性。


昨日までの彼女の姿が、次々と脳裏をよぎる。


屋上で泣いた顔。
自分たちを信じてくれたときの、あの笑顔。
夕食の席で、無防備に頬を赤くしていた姿。


どれも同じ彼女なのに、今、目の前にいる彼女は、まるで違う人間のようにも見えた。

――いや。

違うんじゃねぇ。


これも、あいつなんだ。
自分たちが知らなかっただけで、彼女はずっと、こうして生きてきた。


誰にも弱さを見せず、自分で選んだ道を進み、誰かを守るために戦ってきた。


そして、その重さを、今ようやく少しだけ、自分たちに明かしてくれた。

爆豪は、奥歯を噛みしめた。

彼女を守りたい。

そう思った。

けれど、ただ危険から遠ざければいいという話ではない。



彼女には彼女の意志がある。
自分が勝手に決めつけて、進む道を塞いでいいはずがない。
それでも。
せめて、もう一人で抱え込ませたくなかった。


「……おい」


爆豪が口を開く。


おもちが、彼へと顔を向けた。

「何?」

「次から、全部一人で片づけようとすんじゃねぇぞ」

「……え?」

「任務だか何だか知らねぇが、てめぇが何でも一人で背負う必要はねぇって言ってんだ」

ぶっきらぼうな言葉。
けれど、その目は真剣だった。

「俺らに言えねぇことがあるのは分かってる。だが、何もかも一人で抱えて、勝手に消えようとすんな」

昨日、彼女が口にした言葉が、まだ胸に残っていた。
自分たちに正体を知られた以上、雄英を去らなければならない。

そう言って、彼女は自分から別れを選ぼうとした。
まるで、自分たちが彼女を受け入れないと決めつけていたかのように。


だからこそ、爆豪は伝えたかった。

「……少なくとも、俺はてめぇが勝手にいなくなるのは気に食わねぇ」

おもちは、しばらく彼を見つめていた。
それから、ふっと表情を和らげる。


「……ありがとう、爆豪くん」


その声は、昨日の屋上で聞いたものと同じだった。
/ 745ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp