第15章 死穢八齋會
翌日の昼休み。
「おもち、少し時間をもらえるかな?」
オールマイトから呼び出しを受けたおもちは、指定された応接室へと向かっていた。
昨日、屋上で緑谷と爆豪に自分の正体を明かしたばかりだ。
二人が秘密を守ると言ってくれたことには感謝している。しかし、彼らが知ったのは、自分が公安の人間であるという事実だけではない。自分が何者で、何のために雄英にいるのか。その全貌については、まだ何も話していなかった。
扉の前で一度だけ呼吸を整える。
「失礼します」
扉を開けると、室内にはオールマイトのほかに、緑谷と爆豪の姿があった。
「来たか。こちらへおいで」
オールマイトに促され、おもちは彼の隣に腰を下ろした。
正面には緑谷と爆豪が並んで座っている。
緑谷はどこか緊張した面持ちで彼女を見つめ、爆豪は腕を組んだまま、いつもの不機嫌そうな顔をしていた。ただし、その視線は彼女が部屋に入ってから一度も逸れていない。
「さて。昨日の今日で申し訳ないが、君たちには、もう少し詳しく話をしておく必要があると思ってね」
オールマイトは二人を見渡してから、隣に座る姪へと視線を向けた。
「彼女がどのような立場で雄英に在籍しているのか。何を目的に活動しているのか。そして、これまでどのような経験をしてきたのか。すべてを話せるわけではないが、少なくとも君たちが知っておくべきことは、共有しておこうと思う」
「……分かりました」
緑谷が真剣な表情で頷く。
爆豪も短く「おう」と返した。
二人の反応を見届けてから、おもちは静かに口を開いた。
「まず、私が雄英に潜入している理由から話すね」
その声は、いつもの彼女と変わらなかった。
落ち着いていて、柔らかい。けれど、その奥には、普段の教室では決して見せない、仕事に臨む者としての緊張感があった。
「私の本来の所属は、公安委員会。雄英には、生徒として在籍しながら、ある目的のために潜入しているの」
「ある目的……?」
緑谷が聞き返す。
「雄英内部に、敵側とつながっている人間がいる可能性があったから」
その言葉に、緑谷の表情が変わった。