第15章 死穢八齋會
「ちょっと待って轟くん!?今の何!?」
「自然すぎない!?」
「顔に手を添えた!今、顔に手を添えたよね!?」
耳郎まで口元を押さえ、目を丸くしている。
八百万も頬を赤らめながら、思わず身を乗り出した。
一方、男子たちは別の意味で騒然としていた。
「轟、お前それ素でやってんのか!?」
上鳴が叫ぶ。
「え?ああ。辛そうだったから」
「いや、そういうことじゃねぇんだよ!!」
「何がだ?」
「何がって……!」
上鳴は頭を抱えた。
この男、まったく自覚がない。
しかも、相手はクラスの女子の中でもひときわ目立つ美人である。
そのうえ、あんな顔をしている彼女に、何のためらいもなく触れているのだ。
男子たちが騒がないわけがなかった。
「おもちさん、顔が赤いですわ。大丈夫ですの?」
心配そうに声をかけた八百万に、おもちは申し訳なさそうに微笑んだ。
「うん。大丈夫。どうやら、辛口のカレーを取っちゃったみたい」
「辛口を?」
「そうなの。私、実は辛いものが苦手で……」
ぽそぽそと答える彼女の頬には、まだ赤みが残っている。
「でも、一度食べちゃったし、もったいないから……」
「いや、そこは取り換えればいいだろ」
切島が思わず口を挟んだ。
「そうだよ!我慢する必要ないって!」
上鳴も慌てて同意する。
しかし、おもちはどこか申し訳なさそうに笑うばかりだった。
「せっかく作ってくれたのに、残すのも悪いかなって……」
その言葉に、何人かが胸を押さえた。
「健気かよ……」
切島が呟く。
「いや、健気なんだけど、そうじゃねぇだろ……」
上鳴はもはや呆然としていた。
そして。
その光景を、少し離れた席から見ていた爆豪勝己は。
完全に、心を撃ち抜かれていた。
頬を赤く染め、涙目になりながらも、健気にカレーを食べようとする彼女。
無防備に笑い、周囲の心配に対して申し訳なさそうに首を傾げる姿。
その一つ一つが、いちいち胸に刺さる。
――クソが。
なんなんだ、こいつは。