第15章 死穢八齋會
そして、何の疑いもなく皿を手に、長テーブルへと向かう。
「お、おもち!こっち空いてるぜ!」
隣の上鳴に手招きされ、彼女はにこりと笑って腰を下ろした。正面には八百万が座っている。
「いただきます」
スプーンを手に取り、ぱくり。
一口目。
「……ん?」
わずかに首を傾げた。
いつも食べているカレーとは、何かが違う。
けれど、空腹だったこともあり、彼女はひとまずもう一口食べてみる。
「……あれ。今日のカレー、辛い?」
小さく呟きながら、もう一口。
やっぱり辛い。
舌の上に広がる刺激に、じわじわと口の中が熱くなっていく。
そこでようやく、彼女は気づいた。
……もしかして、辛口を取っちゃった?
今さら鍋を間違えたと気づいても、すでに何口か食べてしまっている。
取り換えるのも、なんだかもったいない。
それに、せっかく飯田たちが用意してくれた夕食だ。
少しくらいなら、頑張れば食べられるだろう。
そう結論づけた彼女は、黙々とスプーンを動かし始めた。
しかし、辛さは容赦なく彼女を襲った。
頬が徐々に赤く染まっていく。
額には、ほんのりと汗が浮かび始めた。
目元はうるみ、息を整えるように、ときおり小さく唇を開く。
それでも彼女は、懸命にカレーを口へと運んでいた。
その様子を、隣に座っていた上鳴が何気なく見た。
そして。
「…………え?」
思わず、手にしていたスプーンが止まった。
頬を赤く染め、潤んだ瞳でカレーと格闘するおもち。
いつもは落ち着いていて、どこか大人びた雰囲気をまとっている彼女が、辛さに耐えながら一生懸命に食べている。
そのギャップに、上鳴の心臓が跳ねた。
「…………っ」
慌てて視線を逸らそうとしたものの、なぜか目が離せない。
「……ん?上鳴くん、どうしたの?」
彼の視線に気づいたおもちが、きょとんと首を傾げる。
その仕草に、上鳴はさらに動揺した。
「い、いや!なんでもねぇ!」
「そう?」
彼女は不思議そうに瞬きをすると、再びカレーに向き直る。