第15章 死穢八齋會
緑谷も、驚いたように爆豪を見た。
「かっちゃん……」
「何だよ」
「いや、その……」
緑谷は言葉を探した。
爆豪が、こんなふうに即座に彼女を引き留めるとは思わなかった。
けれど、考えてみれば、彼らしいのかもしれない。
問題があるなら、解決すればいい。
彼女がここにいたいのなら、ここにいられる方法を考えればいい。
秘密を知ってしまったからといって、彼女との関係まで終わらせる必要はない。
「……そうだよ」
緑谷も、彼女へ向き直った。
「僕たちは、誰にも話しません」
「緑谷くん……」
「もちろん、公安の任務について、僕たちが勝手に口を出すことはできないと思います。でも、あなたが僕たちと過ごしてきた時間まで、なかったことにする必要はないはずです」
緑谷は、まっすぐに彼女を見つめた。
「僕は、あなたとこれからも一緒にいたいです」
その言葉に、彼女の表情が揺らいだ。
「……どうして?」
思わず、問い返していた。
「どうして、そんなことを言うの?」
彼女には、理解できなかった。
もっと非難されると思っていた。
秘密を隠していたことを責められ、信頼を裏切ったと怒られ、距離を置かれる。
それが当然だと思っていた。
自分は彼らを欺いたのだから。
任務のためとはいえ、彼らに本当のことを話さず、敵と味方の境界を曖昧にした。
それなのに。
どうして、彼らは自分を引き留めるのだろう。
「だって……」
緑谷は少しだけ困ったように笑った。
「あなたは、僕たちのクラスメイトだから」
その言葉は、あまりにも単純だった。
「あなたが公安の人だって知っても、今まで一緒に過ごしてきた時間が消えるわけじゃありません。あなたが僕たちと笑っていたことも、訓練で一緒に戦ったことも、全部、本当だったんでしょう?」
彼女は答えられなかった。
「僕は、あなたのことをもっと知りたいです。今まで、何をしてきたのか。どんなことを考えているのか。どうして一人で抱え込もうとするのか……」
緑谷は、少しだけ言葉を詰まらせた。