• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第15章 死穢八齋會


「私は、あなたたちと過ごす時間が好きだったの。教室でくだらない話をしたり、訓練で競い合ったり、寮で一緒に食事をしたり……そういう、何でもない時間が」

そこで、彼女は小さく笑った。

「だから、知られたくなかったのよ」

その言葉は、爆豪と緑谷の胸に、思いのほか深く刺さった。
彼女は、隠していた。
任務のためだけではなかった。

自分たちと過ごした時間を守るためでもあったのだ。

けれど、それは同時に、彼女が自分たちを信頼していなかったということでもある。

少なくとも、彼女はそう考えていたのだろう。

「……っ」

緑谷は唇を噛んだ。
彼女が何を考え、どんな思いで自分たちと過ごしていたのか。
想像することしかできない。

けれど、ひとつだけ分かったことがあった。

彼女は、クラスメイトたちとの日々を偽物だと思っていたわけではない。


むしろ、大切にしていた。


だからこそ、秘密を明かせなかったのだ。

「……そう」

彼女は、ふっと息を吐いた。

「知られてしまった以上、私はこの任務を降りなければいけないわね」


その言葉に、空気が凍りついた。


「……は?」
爆豪が目を見開く。


「正体が知られた以上、雄英に潜入している意味がなくなるもの。公安には、任務の変更を申し出るわ。あなたたちに知られてしまったことも、報告しなければならないし……」


淡々とした口調だった。
あまりにも、淡々としていた。
まるで、それが当然の結論であるかのように。

だが、爆豪は、その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が冷たくなるのを感じた。


任務を降りる。
つまり、ここからいなくなるということか。

教室から。

訓練から。

寮での生活から。

何気ない会話も、くだらない言い合いも、もうなくなるかもしれない。

彼女が隣にいることが、当たり前ではなくなる。


「……ふざけんな」


低い声が漏れた。

彼女が目を上げる。

「爆豪くん?」

「誰がそんなことしろっつった」

「でも……」

「俺らが黙ってりゃいい話だろ」

あまりにも、あっさりとした言葉だった。
彼女は目を見開いた。
/ 745ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp